古の播磨を訪ねて~明石市編 その5
岩屋神社
今回は、平成28年11月下旬に、明石市材木町に鎮座しています岩屋神社を訪ねました。第二神明道路玉津ICで降りて、国道175号を南下し、国道2号と合流する「和坂」の信号を左折。明石川を渡り、「大明石町2丁目」の信号を南へ右折して「本町2丁目」の信号を通り過ぎること約300m、左手が岩屋神社です。当日は宮司さんからいろいろとお話を伺うことができました。
ここ岩屋神社は、歴史と伝統のある式内社で、社伝によれば第13代成務天皇13年(西暦143年)6月15日に天皇の勅命により、淡路島岩屋より神を勧請して創祀されたということです。明石浦の名主、前浜六人衆が新しい船を仕立てて淡路から神にお遷りいただく際、海が大変荒れて、船が明石浦の浜より西方の林崎辺りに漂着。そのとき、海難防止と豊漁を祈ると、明け方には海も静まり現在の地に無事神様をお迎えすることができました。そして、地元住民が沖まで泳いで出迎え、「ご神体と一緒に乗船するのは畏れ多い」と泳ぎながら船を押して明石の岩屋の地に着いたといいます。
毎年7月の第3日曜日には、祭神を淡路島から勧請した際の故事にちなんだ、「おしゃたか舟神事」が斎行されています。「おしゃたか」という意味は、明石の方言の「おじゃたかなぁ」が訛ったもので、「神様がいらっしゃったか」という意味だそうです。この祭事では、祭神6柱と、お供のおしゃたか舟(全長約2m)9隻を持った氏子の青年たちが、舟を立ち泳ぎで頭上高く掲げ「オシャッタカー」と唱えながら、前に推し進めて、渡御式を行います。海難防止と豊漁を祈願する祭りとして、毎年多くの参拝者で賑わい、昭和50年(1975)には、明石最古の伝承海上神事として明石市の無形民俗文化財に指定されました。
筆者が訪問した時は、冬まじかという感じの北風の少し強い日でしたが、宮司からいろいろお話をお伺いしている間に、ここ明石の夏の風物詩として知られている伝統祭事を是非拝見したいものだと、今から来年の夏のことが楽しみになりました。