古の播磨を訪ねて~多可町編 その4
青玉神社
1月下旬に多可町加美区鳥羽(とりま)の青玉神社を訪ねました。専任の宮司はおられず、詳しい話は聞くことができませんでした。境内の説明板によると、御祭神は天戸間見命(あまのとまみのみこと)・大歳御祖命(おおとしみおやのみこと)で、元は播磨・丹波・但馬の境である三国岳の頂上に鎮座していましたが、後に南の現在の鳥羽の地に遷座されたようです。さて、この「とりま」という地名ですが、この遷座した「祭場:まつりば」が「とりば」と訛り、それに「鳥羽」の文字が当てられ、さらに訛って「とりま」と呼ばれるようになったようです。
ご社殿は、国道427号線から、参道を100mほど入った処に鎮座しています。本殿は一間社流造杮葺(いっけんしゃながれつくりこけらぶき)、幣殿は切妻造檜皮葺(ひはだぶき)、拝殿は入母屋造萱葺(かやぶき)で、どっしりとしたご社殿が、冷気漂う凛とした清閑なスギ林の中に鎮座しています。
このスギ木立の中でも特に群生の7本は樹齢600年~1000年の巨木で昭和43年(1968)に兵庫県の天然記念物に指定されています。本殿に向かって左後ろには、幹周り約9.5m、根回り11.37m、樹高45m、という青玉神社社叢の中で、最大の巨木「夫婦杉」が辺りを圧倒して立っています。この夫婦杉は、過去2回その生存が危ぶまれたことがあるようです。しかし、その都度、多くの住民の拠出金やライオンズクラブの寄付金等により、樹木医による調査等が行われて、保存修理されて、今の元気な姿になったようです。
また、拝殿に向かって右手前には、「母乳の神木(ちちのき)」と言われているイチョウの木があります。太い枝のいたるところから大きな乳房に似た変形枝が出ています。それに触れると、女性の乳の悩みが解決するという言い伝えがあるそうです。
多可町の一番奥まで来て、改めて播磨国風土記託賀郡の冒頭部分の「巨人伝説」を思い出しました。天も山も高く、みどり広がる大地を、巨人は力いっぱい体を伸ばして、満足げにゆったりとした足取りで歩いている様子を想像し、私もゆったりとした気持ちで車を運転して帰路に着きました。