古の播磨を訪ねて~相生市編 その4
矢野の大ムクノキ
年明けの1月初旬に相生市矢野町森の「矢野の大ムクノキ」を訪ねました。
姫路から国道2号線を西へと進み、相生市竜泉の交差点を右折して県道44号線を北進しすると、相生市矢野町森を流れる矢野川の法面に主幹を斜めに突き出した目的の大ムクノキを発見。
兵庫県教育委員会の説明板には、根回り4.8m、高さ15mとあり、樹齢は推定600年以上で、昭和58年(1983)3月29日に兵庫県の天然記念物に指定されたと記してありました。また、その昔、この地に荒神社の杜があって、このムクノキは、そのお社のご神木として祀られ、大切に保護されていたために、区画整理のときも伐採されることもなく、今に残っているのだということです。
よく見るとそのムクノキは、主幹が途中で折れており、大きな枝が、東南アジアの水牛の角のように大きく曲がりくねっていて、あたかも主幹と見間違えるほどに張り出しています。ご近所のご婦人に尋ねると「何百年も前に雷が落ちて主幹が折れ、その後、枝が大きくなったと、この辺りでは伝わっている。」とのことでした。また、以前の矢野川の護岸工事のときに、この大ムクノキをどうするか、県の河川課の方も困り果てたようですが、誰からも「切り倒す」という話は出なかったということで、工事はこの大ムクノキを避けて行われ、お蔭で春夏秋冬、様々な美しい姿を見せてくれているようです。ご婦人曰く「いつの季節もよろしいが、春先の緑は筆舌に尽くし難い美しさですよ。是非一度。」とのことでした。
その大きな枝を周り一帯に伸ばし、その威風堂々とした姿で辺りを圧倒しながらも、小鳥たちに実を与え・育み、小鳥がさえずり・たわむれる様子は、真冬にもかかわらず何かのテレビのコマーシャルのような温かい気持ちになりました。