古の播磨を訪ねて~神河町編 その4
立岩(たていわ)神社
「六月や峰に雲置く嵐山」松尾芭蕉が京都嵯峨野の落柿舎滞在中に詠んだこの句がなぜか頭をよぎる8月(旧暦の6月)の初めに神河町峰山の麓の「立岩神社」を訪問してきました。暑かった。関西では連日の猛暑日でした。
さて、この立岩神社については、ずーっと以前から興味関心のあるお社でしたが、今回改めて現地取材することによって、ますます関心が深まりました。
先ず、このお社の建っている場所は神河町宮野ですが、お社のすぐ南を小田原川(播磨国風土記の湯川と比定されている)が流れていて、その南に、岩肌が露出した大きな屏風のような断崖絶壁があります。それで、小字を「岩ノ下」と言い、お社に近い一帯は今もこう呼ばれています。そして、今回の目的の「立岩神社」は、元来その断崖絶壁の岩の上にお社を祀ったので、その名前がついたようです。
次に、この宮野地区には民家が46軒あるようですが、なんと、その内、35軒が「立岩」とおっしゃる姓のようです。当日、たまたまご案内いただいた「立岩神社」の前総代さんも「立岩」さんでした。
ところで、この「立岩神社」には、日本でも珍しい「藤木(ふじき)」が6本自生していて、神河町の天然記念物に指定されています。この木は、木の肌は樫の木とほとんど見分けがつきません。ただ、葉っぱが、つる性の「藤」の木にそっくりで、そこから「藤木」という名前がついたようです。この「藤木」を自分一人で確認するのは、かなり難しいと思います。先の案内人の立岩さんに1本1本教えていただいて、それと分かりました。