古の播磨を訪ねて~上郡町編 その3
法雲寺のビャクシン
2月下旬の雨の日、上郡町を訪ねました。ここ上郡町には兵庫県指定の天然記念物「法雲寺のビャクシン」があります。国道2号線の「有年原」の信号を右折して、国道373号線に入り、千種川沿いに北へ。上郡町苔縄に入り、智頭急行智頭線の苔縄駅の向こうには、雨にけむる目指す法雲寺の甍が見えてきました。千種川に架かる金華橋を西岸へ渡ると、すぐ右手の山の中腹にその寺院はありました。
この法雲寺の山号は金華山。臨済宗相国派の禅寺で、御本尊は釈迦如来です。 この寺院は、南北朝時代の建武年間(1334-1338)に上郡の英雄赤松則村(円心)を開基とし、元(中国)の朝廷から「宝覚真空禅師」の号をいただいた「雪村友梅(せっそんゆうばい)」を開山に際して京都栂尾(とがのお)より招請して創建されたと伝えられる赤松氏の菩提寺です。
さて、今回の訪問目的のビャクシンは、赤松円心がこの法雲寺を創始したときに植えたと伝わるもので、昭和52年(1977)3月、兵庫県指定天然記念物に選定されています。寺の説明板によると、樹齢約700年・幹周9.83m・根周り14.3m・高さ35m・枝の広がりは南北22m・東西23.5mで、日本最大のビャクシンと言われているようです。雨でしたが、実際にその下に入ると当然傘は必要なく、見上げると同時に、その大きさには圧倒され、筆舌に尽くしがたいほどのものでした。長い間、風雪にさらされながらも、赤松氏の栄枯盛衰をじっと見続け、まだまだかくしゃくとしているその雄姿には、思わず手を合わさずにはいられませんでした。
自分の知りうる大木の中でも1・2を争うもので、読者の皆さんにも是非一度訪問していただきたいと思いながら、雨の中はるばる上郡まで訪ねた甲斐があったと、それこそ心洗われて帰路に着きました。
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