古の播磨を訪ねて~市川町編 その3
岩戸神社
さて、その岩戸神社ですが、樹齢数百年という杉・桧・栢(かや)がうっそうと茂っていました。参道やその両側の玉垣は苔むしていて、お社の南半分を囲むように流れている岡部川の支流の岩戸川は、清流以外の言葉は当てはまらないような渓流で、辺り一帯はひんやりとした空気が漂っていました。本殿後ろには、高さ・幅共にそれぞれ10数メートルもあるかと思われる大きな岩が迫っており、また、本殿南西方向の岩戸川の側にも苔むした屏風のような大岩が立っています。周囲の老木と合致し、せせらぎだけが聞こえてくる神秘的で静閑そのものでした。
次に、本殿の装飾彫刻ですが、これまた素晴らしいもので、巧妙精緻な力作は、市川町の文化財に指定されています。聞くところによりますと、この彫刻師は今の丹波市氷上町の出身で、日光東照宮の彫刻の流れを汲む彫刻師のようです。
この岩戸神社にはクマガイソウやエビネその他20種類ほどの山野草を集めた花園があります。なかでも6月中旬に咲く九輪草の群落は素晴らしいもののようです。今回訪ねたときは、多くの野草の茎・葉はほとんど枯れていましたが、来年は、是非その美しい花の時期に訪れたいと思いながら、岩戸神社をあとにしました。