播磨広域連携協議会

はりま風土記紀行

古の播磨を訪ねて~相生市 編

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羅漢の里
羅漢の里

瓜生羅漢(うりゅうらかん)

現在の相生市に相当する箇所も、 前回の赤穂市同様に播磨国風土記には記述が残っていませんので、 風土記を離れた紀行文にしました。

梅雨の合い間の晴れた日に、相生市矢野町瓜生の羅漢の里を訪ねました。
駐車場で車を降りると、 鶯が今まで耳にしたこともない良い鳴き声で迎えてくれました。
前日が雨であったため、足元の悪い中での行程になりましたので、 苔むした石段に注意を払いながらゆっくり登って行きました。
切り立った大きな岩の間を抜け、 巨岩のトンネルをくぐり、急な石段を登りきると、 そこは聖地のような空間でした。
「羅漢講」と刻字された玉垣のような囲いがあり、 大きく張り出した岩窟の中には、 釈迦如来・文殊菩薩・普賢菩薩の三体の像のほかに、16体の羅漢像が安置されていて、 この19体の尊者の前に立つと、自然と手が合わさってしまいました。
この瓜生羅漢の由来は、 第29代欽明天皇の時代に高句麗からの僧である恵便・恵聡の二人が石仏を彫ったとも、 弘法大師が全国行脚の途中にここを訪ねて石仏を刻んだとも、 その他諸説紛々としていてはっきりしていないようです。
しかし、そのようなこととは別に、人里からほんのわずか入ったところに、 人っ子一人もいないこんな深山幽谷を思わせる場所があったことに驚きました。
そして、平成9年7月のはじめに、規模や対象は違うものの、やはり雨上がりの翌日の足元の悪い中、 苦労して登って参拝した国東半島豊後高田市の熊野磨崖仏のことが、なぜか思い起こされ、 心洗われる思いがしたひとときでした。

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